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小説

猫又館・第1話 羽化がみたい!

 

ある晴れた昼下がり、中庭の畑で主人くんが座り込んでなにかを見ているようだ。

そこを通りかかったメイドちゃんが声をかける

メイドちゃん
メイドちゃん
こんにちは、ご主人。なにをなさっているのですか?

その声に主人くんは答えた。

主人くん
主人くん
やあ、メイドちゃん。実は蝶の幼虫を見つけてね。もうすぐ蛹になりそうだから捕まえたんだ!羽化が見たいなって思って。

バケツの中の大きな幼虫を主人くんはメイドちゃんに見せる。

アゲハ蝶の幼虫だろうか?大きくて立派な幼虫だ。

メイドちゃん
メイドちゃん
大きな幼虫ですね!私、羽化って見たことありません。ぜひこの機会に見てみたいです。
主人くん
主人くん
羽化は生命の神秘だからね!一生心に残るよ!僕もお父さんと子供の頃始めて見てすごく感動したのを今でも鮮明におぼえているんだ。ぜひ一緒に見ようよ!それでね、メイドちゃんに一つお願いがあるんだ!
メイドちゃん
メイドちゃん
なんでしょうか?

メイドちゃんは首をかしげる。

主人くん
主人くん
実は幼虫を入れておく虫かごがなくて。ネコ均ショップに行って虫かごが買いたいんだけど連れて行ってくれないかな?
メイドちゃん
メイドちゃん
お安い御用ですよ!では車を準備して課長に出かける旨を伝えてきますね。玄関でお待ちいただいてもいいですか?
主人くん
主人くん
ありがとう!じゃあ、準備して玄関で待っているね

元気よく玄関へ走っていく主人君。

メイドちゃんは事務所に戻り車のカギを取りに行く。

メイドちゃん
メイドちゃん
課長!これから車でご主人とネコ均ショップにいってきますね。
秘書ちゃん
秘書ちゃん
了解~。気を付けていってきてね。

手を振る秘書ちゃん。

それから2人は車でネコ均ショップに向かい虫かごを購入。

畑に戻りバケツの中をのぞくと

主人くん
主人くん
あれ?幼虫がいない
メイドちゃん
メイドちゃん
ほんとだ。いなくなってます。どうやって脱出したのでしょうか?

主人君はバケツの壁を登って行ったであろう痕跡を見つけた

主人くん
主人くん
このバケツの壁を登るとは・・・
メイドちゃん
メイドちゃん
私はバケツの壁を登ったのが信じられません。高いですしすべりますし。
主人くん
主人くん
これが幼虫パワーか。恐るべし。
メイドちゃん
メイドちゃん
あとこの緑の小さい塊はなんです?
主人くん
主人くん
幼虫のうんち・・・だね。一緒に入れておいたキャベツの葉もないしお腹いっぱいになって出すもの出して旅立っていったんだね。
メイドちゃん
メイドちゃん
「小さな緑の置き土産」を残してですか。

肩を落とす2人に冷たい風が吹く。

その後

 

メイドちゃん
メイドちゃん
幼虫、いなくなってしまって残念でしたね。羽化見てみたかったです。
主人くん
主人くん
きっとまた見れるチャンスはあるよ。
メイドちゃん
メイドちゃん
はい!次の機会を楽しみにしてます。

休憩室でくつろいでいるとそこへ秘書ちゃんがやってくる。

秘書ちゃん
秘書ちゃん
2人ともいいところに!1つ聞きたいんだけど中庭の畑のキャベツが全部がなくなってしまったんだ。心当たりとかってない?
メイドちゃん
メイドちゃん
私が畑に行ったときにはもうありませんでしたよ
秘書ちゃん
秘書ちゃん
そっかぁ。実はね、あのキャベツ月末に開かれる新入社員交流会で使われる予定だったんだ。親方様がお好み焼き屋さんをやるらしくて。
メイドちゃん
メイドちゃん
そういえば、もらったパンフレットに書いてありましたね。
秘書ちゃん
秘書ちゃん
急になくなっているもんだから親方様カンカンに怒っちゃってさ。ほんとどこいっちゃったんだろ。

その話を聞いて一気に青ざめる猫。

秘書ちゃん
秘書ちゃん
ねぇ、もしかしてだけど主人君なにか知ってる?
主人くん
主人くん
あは、あはは。いや幼虫の餌に少し拝借と思ってもらったんだけど少しかじったらあまりにも美味しくて。あの畑って食堂のじゃない?だから食堂のおばちゃんところに持っていけばみんなでおいしい野菜炒めが食べれるかなって。テヘ

舌を出し可愛くポーズを決める主人君。

メイドちゃん
メイドちゃん
お昼にでた野菜炒めおいしかったですよ。特にキャベツが♡
主人くん
主人くん
やはり、僕の目に狂いはなかったか!

ドヤ顔を決める主人君。

秘書ちゃん
秘書ちゃん
ボクも食べたかった・・・じゃなくて!反省してないでしょ?絶対怒られるからね!!メイドちゃんも褒めちゃダメ!すぐ調子にのるんだから
メイドちゃん
メイドちゃん
すみません、気をつけます。
主人くん
主人くん
え~、僕褒められ伸びるタイプなのに!
秘書ちゃん
秘書ちゃん
も~、ちゃんと反省してよ。じゃないとまたずーっとお説教されるんだから。
主人くん
主人くん
調子に乗りすぎました。反省しております。パパのところに謝りに行ってきます。

肩を落とす主人君。

秘書ちゃん
秘書ちゃん
しょーがないな。ボクも一緒に行ってあげるからさ。はやくいこ!

秘書ちゃんに抱えられ親方様のところへ向かう主人君。

このあとこっぴどく怒られたのは言うまでもない。

後日、屋敷中の掃除を命じられるのだった。

おしまい